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砂の城と薊の花

 

(2018)

 作詞・岩本孝太 作曲・桶田知道

 

2nd Album 「秉燭譚」M10

砂の丘 月の光 闇は早足

襟元正して寒さに争う

廃忘に愛されたあなたとの旅路へ

冬が嫌いな僕らを誘い出すか

まどろみ落ちた風の街

旅人は行く

忘却の女神は不安げに

覚えたことのない街路は役立たず

玉風堪えて暗い道を歩く

二人で築いた砂の城

一つの涙で滑り崩れる

だから僕は覚めない夢のために

夜毎に汚い泥で固める

夜は更け 真の闇

歩みを止めたら

古びた毛布を静かに掛けよう

眠りを貪る横顔のお姫様

寝息を袖まくらに共に眠る

砂漠に木々は咲かないさ

僕は知っている

花が好きなあなたに贈る

少しの芽さえもここにはないけれども

春の日は両手一杯の花の輪を

悴み恐る姫の指

「少しくらいなら構わない?」

僕は右手を あなたは左手を

交わして涙が落ちて流れゆく

繋いだ事のない両手は記憶を開ける

儚く崩れる砂の城

懺悔の涙の大雨を

防げはしない夢の城

今のあなたは薊が好き?

結局僕は泥まみれ

​ぬかるみの中 旅に続け

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